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更新日:2018年12月5日

人材育成の具体的な方策

人材育成の基本は、職員自らが「目指すべき職員像」や「求められる役割・能力」を認識し、職員一人ひとりが自己の持つ能力、資質を活かしながら自己啓発に努めることです。
自己啓発に取り組む意欲のある職員に対して積極的に支援を行うとともに、職員一人ひとりの能力と資質を引き出し、最大限に発揮できるよう職員研修、人事管理、職場環境に加え地域との関わりからのアプローチにより、人材育成を効果的に行うものとします。

1職員研修からのアプローチ

職員研修は、1.自己啓発2.職場内研修(OJT※4)3.職場外研修(OFFJT※5)の3本柱を中心に確実に進めることにより、バランスのとれた職員の育成を図るものとします。
市民の目線で自治体を経営していくため、職員は公務員としての一般的な知識を持ち合わせるだけでなく、それぞれが担当する業務に精通し、責任を持って実施することができる知識や能力の取得に努めることも必要となってきます。
また、職員自らが「強み」、「弱み」を把握し、自己実現に向け必要な能力開発に主体的に取り組む意識向上を図るために、職員自らのキャリアデザイン※6を支援するための研修についての取り組みも進めます。

1.自己啓発

職員自らが常に自分を高める意欲を持ち続けることが必要です。自分を高めるためには、自分にとって必要な知識、能力を認識し、意思をもってその開発・向上を図るために学習することが必要です。
職員は、日常の中で意欲と主体性をもって自己研鑽に努めていく姿勢を持ち続けなければなりません。勤務時間外においても自ら学ぶ機会を求め、個人やグループでの自主研究・研修を行うなど自己啓発に対する意識を醸成していく必要があります。

自主研修
職員が自ら進んで学習し、自己の能力を磨くことは、人材育成の基礎となるものです。職員が自主的に研修をしやすい環境の整備に努めるとともに、幅広い情報提供や支援を行います。

通信教育
余暇を利用し、自宅でも手軽に学べる通信教育も自己啓発の有効な手段です。職務に必要な通信教育はもとより、職員の能力開発に資する通信教育に対し、情報提供や受講費の助成を行います。
また、昇格試験合格者に対する昇格後の通信教育の受講についても、その方法や内容について、より自主的で実のある内容となるよう見直していきます。

自主研修グループ活動
職員同士が共通の課題等について自主的にグループを結成し、研究を行うための職場風土の形成を促進するとともに、その活動に対し助成を行います。また、「イヴニング&ウィークエンド研修」等を開催し、その研究成果を発表する機会の提供に努めます。

職員提案制度
自己啓発によって得た知識、能力を活かした提案制度を充実させ、積極的な活用を図っていきます。また、長期的な視点に立った政策提言に対しても受け入れられる体制を整えます。

2.職場内研修(OJT)

職員を育成していく上で最も効果的で人材育成の原点とも言えるのが、職場内での研修です。日常業務を通じて、それぞれ具体的に個別指導ができる利点があります。しかし、職場研修の指導者となる管理監督者の確実な養成が前提条件であり、その育成を図る必要があります。

管理監督者の意識啓発、部下の指導
職場内研修(OJT研修)の実施主体は、職場の管理監督者であり、これら職員の認識と取り組みの姿勢が大きなウェイトを占めます。職場の上司、先輩が仕事をしながら個々の具体例に則して、必要な技術、知識、情報、経験等を部下、後輩に随時教えていくこととします。これには、管理監督者に対する十分な啓発を行い、理解を深めることが必要です。

新任職員の育成
新任職員にとって、最初の職場は公務員としての基礎的能力や知識の習得、接遇の基本を学ぶ場であり、以後のキャリア形成においても大きな意味を持ちます。
しかしながら、現実として新任職員の育成は集合研修を除いて各職場において対応しているのが現状であり、上司や先輩、職場の雰囲気、担当する業務によって差が生じています。
新任職員の配属を受けた所属長は、係長又は先輩職員から教育係(トレーナー)を指名し、新任職員に対する計画的なOJTが実施できるよう努めることとします。教育係は当該職員のレベルアップが実現できるよう身近な相談者となることが求められます。

職場内での話し合い
役職に捉われず、フリーな関係で業務について議論することもOJTの一つです。ちょっとしたことでも、気づいた時に声をあげ、互いの意見をぶつけ合うことで新たな「気づき」が生まれるはずです。そうしたことができる職場の雰囲気づくりも必要です。

3.職場外研修(OFFJT)

一般研修
一般研修は、全体の奉仕者としての自覚や公務員としての倫理を再確認する機会であるとともに、職制による必要な基礎知識、技術を学ぶもので、職場外研修の基盤となります。研修体系についても、これまでの一方的な指名による「管理型」の研修から今後は職員の能力開発意欲を促し、自発的に参加できるよう「自発型」の研修へと転換を図っていきます。
また、兵庫県自治研修所や播磨自治研修協議会で開催されている一律の階層別研修についても、職員がそれぞれコンピテンシー※7等による計測から「弱み」や「高めたい知識や能力」を知り、そのうえで自らが希望して受講できるカフェテリア方式※8の研修へと転換できるよう研究、改善に努めていきます。

専門研修
専門研修では、職務遂行に必要な専門知識を習得し、専門能力や実務能力を高めます。一部の研修では、受講生の性別に片寄りの見られるものもありますが、この研修は、時代や市民感覚に対応した新たな情報、知識を吸収する機会としても有効であり、また質の高い自治体経営を行うためにも重要であることから、性別にとらわれず職員の受講機会の拡大に努めます。

派遣研修
職場や日常業務から離れ、異なった職場環境、業務内容を経験することにより幅広い視野を養い、柔軟かつ多面的な思考力を醸成し、行政に活かすこととします。特に、先進的な事例を実際に自分の目で見て研究することは、高度な政策形成能力、コスト意識、接遇能力の向上にも役立ち、その成果を発表することでプレゼンテーション能力の開発にも役立ちます。

人権、倫理研修
人権や個人情報、不祥事再発防止の取り組みなどは、市民にとって極めて関心の高いものがあります。これらについて正しく理解するとともに、公務員としての倫理観を確立するための研修を進めていきます。

研修効果の測定
研修によっては、受講者の所属長の意見を適切かつ正確に把握し、以後の研修をより効果的なものにするため、研修受講直後の所感や意見にとどまらず、中長期的な効果測定が出来るようなシステム構築を図ります。

2人事管理からのアプローチ

個々の職員の能力をいかに引き出し、どう活用していくかが人事管理の大きなポイントです。目指すべき職員像の実現のため、職員が気持ちよく伸び伸びと自己の能力を最大限に発揮できることが大切です。それには、職員の意思を尊重し、職員の能力や適性、意欲を活かした適材適所の人事配置に努める必要があります。何よりもまずその核となる人材育成に取り組んでいきます。

1.職員採用

多様な人材の確保
職員数の削減が進む中、少数精鋭で行政運営を行っていくためにも、また、将来の市政運営を見据え、年齢構成のバランスを図るためにも、定員適正化計画に基づき、優秀な職員を計画的に採用していくことが重要です。そのため職員の採用にあたっては、知識偏重の採用から人物本位、能力重視の採用への転換を図る必要があります。面接試験についても、より人物面が評価できる内容、方法を検討します。
また、保育士、幼稚園教諭、消防士など性別に対する社会的な固定概念が払拭されていない職種の採用選考についても研究を進め、優れた資質を持った職員の採用に努めます。
さらには、幅広い人材を確保するために年齢幅を拡大した採用も視野に入れた研究についても進めていきます。

障害者雇用
市は、事業主としてユニバーサルデザイン※9社会の実現に向け、障害者の雇用の場を確保する責務があり、市内の企業に率先して障害者雇用を推進する立場にあります。今後は障害者枠を設けた採用や、職場実習等をベースにした選考についての研究を進め、多様な人材確保に努めていきます。

再任用職員、臨時職員の活用
平成19年度から、いわゆる団塊の世代の定年退職期を迎えます。働く意欲と能力のある定年退職者を活用するため、再任用制度の適正な運用を図り、その豊富な知識と経験の有効活用を図ります。
また、効率的な行政運営を行うため、正規職員を配置する必要のない職務については、多種多彩な技能、知識を持った民間企業での経験を持つ人材を臨時職員(パートを含む)として活用するとともに、定員適正化の観点からも外部委託を推進します。

2.配置管理

配置管理の充実
人事異動は、様々な業務に就くことによる知識・経験の蓄積、能力の向上が期待できます。さらに、職員が入れ替わることで職場内の雰囲気をリフレッシュし、組織を活性化させるという利点があります。これらのことから、人事異動は人材育成のための重要な手段となります。従って、平成18年度に導入した自己申告制度の活用を図り、職員の職務能力、適性を活かし、意欲の向上と組織全体の活性化が図れるような人事異動を行います。

自己申告制度の充実
自己申告制度は、職員の異動に関する意向を把握する有効な手段であることから、平成18年度から実施しました。個人の経歴や異動希望、職場の状況、さらには職務の執行状況等を申告という形で把握するものですが、今後はコンピテンシーモデル※10等による自己評価が可能なシステムの導入やその結果に基づく自己アピールなどについても申告できるような制度を研究していきます。また、書面による申告だけではなく、職員との面談の機会についても検討し、自己申告制度の充実に努めます。

希望降任制度の適切な運用
仕事に対し、やる気、やりがい感を持ちながらも、家族の介護など家庭での問題や自身の心身の故障等により、職務を全うできない状況に陥るような場合もあります。
また、一度は昇任したものの経験不足等により期待された職務を全うできない場合もあります。希望降任制度は、そのような職員のために、個人の能力と意欲に応じた職場環境を提供し、職場全体における公務能率の維持増進を図ります。
今後は、この制度の周知と適切な運用に努めるとともに、希望により降任した職員が安心して職務にあたれるような職場環境の整備に努めます。

ジョブローテーション制度※11の導入
さまざまな職場の経験が職員を成長させますが、特に若い時期での経験はその職員の成長に大きな影響を与えます。適材適所の職員配置実現のためにも、特に新規採用後10年以内の職員を対象に、数年のサイクルで異動を行います。異動部署も窓口部門、事業部門、管理部門等さまざまな部署を経験させることにより、広い見識を身につけてもらうとともに、本人の適性を見極めることが可能となり、本人の資質を活かした適正な人事配置に役立てていきます。

職場内のジョブ・ローテーション制度の導入
若手職員の育成を図るうえで、ジョブ・ローテーションは有効ですが、この考えを課(係)の内部に取り入れることで、職場のマンネリ化を防ぐことができ、新しい活力を生み出すことができます。ただし、実施にあたり、所属長は課内の業務の停滞を起こさないことや、職員の業務に関する理解が中途半端にならないように十分留意する必要があります。

専門職制度の導入
行政の多様化、複雑化、高度化に対応するためには、特定の分野に精通した高度な専門能力を持った職員(スペシャリスト)や、長年の経験や知識の積み重ねにより専門分野でそのスキルやノウハウを活かせる職員(エキスパート)の確保とともに、その職員が活躍できる職場環境の整備が必要となります。
こうした背景を受け、今後、特定の部門・分野で専門的スタッフとして業務にあたることができる専門職制度の導入を検討します。

業務支援体制の整備
一定時期に特定の部署に業務が集中する場合は、グループ制をはじめとする部課内の業務支援体制の強化により平準化を図ります。

3.人事評価

人事評価制度の導入
目指すべき職員像に近づくため、職員が自分自身を高めていく過程の中で、一定の期間ごとに適切な評価を行うことは、次のステップに向けての新たな目標設定や励みに繋がります。評価の方法については、職員自らの「気づき」を生み、透明性、公平性、客観性を確保できるコンピテンシーモデルによる評価なども視野に入れ、人材育成型の人事評価制度を構築することとします。

人事評価制度の運用
人事評価制度が適切に運用されるためには、職員自身が制度を十分理解したうえでその制度を信頼し納得することが大前提となります。
職員がやる気を出し、誇りを持って仕事を行うには、頑張った者が報われる制度の導入が不可欠です。特に平成18年度の給与構造改革により、勤務実績の給与への反映がより強く打ち出されたこともあり、勤務成績に基づく昇給制度にリンクする人事評価システムの運用が求められています。
評価者に対しては、常に公平公正な評価を行い職員の信頼を損なうことのないよう、また、評価が寛大になったり、特定の特性を過大評価したりすることがないように定期的に評価者研修を実施するとともに、被評価者に対しても制度の理解を深める研修や説明会を実施します。

3職場環境からのアプローチ

職員が主体的に人材育成を推進していくためには、職場の学習風土づくり等の総合的な職場環境の整備が必要です。同じ職場で働く職員同士が良きライバルとなって切磋琢磨し、相互に学び合う職場風土づくりが必要です。
加えて、職員が与えられた使命を的確に遂行するためには、心身とも健康であると同時に、地域や家庭での生活が充実していることが重要です。そのためにも、子育てや介護など家庭生活との両立を支援し、職員のゆとりを生み出す職場内の協力体制も必要です。

1.職員の役割

自身の健康保持に努める
充実した社会生活を送るためには、心身ともに健康であることが基本です。健康に支障をきたせば、やる気も沸いてこないし、執務能率も低下することとなります。そして、何より目指すべき職員像への到達は困難なものになります。自分自身の健康は、自己責任のもとにその保持増進に努めることが大切です。

自分を知る
職員は自分の適性を知ることが大切です。自分の適性を知った上で、今後の能力開発にどう取り組むべきか、また、自己の能力をどのような分野でどのように活かすか、どんな職種、職場を希望すべきかを見極めていく必要があります。それには、毎日の自らの職務執行状況を振り返るともにコンピテンシーモデル等を活用しつつ自己適性を認識していくことが必要です。

自己啓発を絶えず行う
自分を高めることは、やりがい、意欲の高揚にも繋がって行きます。日頃から絶えず自己研鑽に努め、幅広い知識を養い、見聞を広めることが大切です。

2.管理職の役割

職場のリーダーは所属長である
所属長は、人材育成の最高責任者です。職場の雰囲気を明るくするも暗くするも、また、職場を活気に満ちたものとするも沈滞したものとするも所属長次第です。所属長は、職員が明るい、活気に満ちた仕事場で生き生きと職務に精励できるように努める必要があります。

職員の健康管理に努める
管理職は、職員の健康保持を心身両面からサポートすることが重要です。特に近年、ストレスを抱えて悩む職員が増える傾向にあります。
メンタルヘルスを正しく理解し、ストレスを抱えた職員の早期発見に努める必要があります。したがって、管理職員をはじめとするメンタルヘルス教育を充実するとともに、職員が相談しやすい環境づくりを進めます。
また、ノー残業デイ(毎週水曜日)の推進に努めるとともに、休日等(土、日、祝日)に勤務を行った場合には、振替休日の取得を勧めるなど、職員の勤務時間数の抑制に努めることが必要です。

職員を知る
管理職は、日頃からあらゆる機会を捉えて職員とのコミュニケーションに心がけ、職員の性格、適性、能力、長所、短所を把握し、理解しておかなければなりません。その上で、的確な部下の指導育成に努めることが大切です。

職員の能力を高める
日常の業務を通じて職員の育成を図ることは、最も有効な能力開発の方法です。管理職は、業務を通じて指導、助言、時には叱咤して職員の能力を高めることが必要です。

自ら範を示す
管理職は、自ら率先して、実行することが必要です。管理職が仕事に対する熱意、姿勢、仕事の処理の仕方、さらには率先して研修に参加するなど手本を示すようにすることが、職員の信頼を生み、円滑な業務処理、能力開発へと繋がっていくため、その実践に努めることが必要です。

3.職場内の協力体制

仕事と家庭生活の両立支援
平成17年に策定された“赤穂こどもプラン”(赤穂市次世代育成支援対策行動計画)を単なる地方公共団体に義務付けられた行動計画と捉えず、職場の新しい働き方としてワーク・ライフ・バランスを図りながら、職員が互いに助け合っていく意識を育むことに努めます。

組織内情報の共有
朝礼等の職場内会議の実施、庁内グループウェアシステムの活用など、情報を収集し、提供する場を設けることで、職員が同じ情報を有し、市全体として戦略的に仕事のできる環境を整えます。

心と体の健康づくり支援
多様化する行政ニーズ、技術革新、OA化の進展、制度改革等職務環境の変化によってストレスの要因が増大しています。このような状況の中、職員が心身両面に渡る健康を保持、増進していくためには、セルフケアはもとより職場としての対策も必要です。職場として、円滑なコミュニケーションを心がけるとともに様々なストレスについて正しく理解し、互いが健康を保ち、働きやすい職場づくりを積極的に進めていく姿勢を持つことが必要です。
また、「職員安全衛生委員会」やメンタルヘルスに関わる相談機関との連携を持ちながら、快適でよりよい職場環境の構築に努めます。

4地域との関わりからのアプローチ

自立・参画・協働型の自立したコミュニティを目指そうとする市民意識が高まり、今後より一層、市民、行政が互いに能力・知恵を出し合い地域の課題に取り組んでいく場面が増えてくることは容易に想定できます。
そのため、職員も自らが地域の一員であることの意識を持ち、積極的に参画することが求められます。
そして、その中で、幅広い知識や情報に接するとともに、市民感覚やコスト意識を肌で感じ、自らの業務に活かす姿勢を持つことが必要となってきます。

お問い合わせ

所属課室:総務部人事課人事係

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