ここから本文です。
更新日:2022年11月10日
地方行政は、人口減少・少子高齢化の進展や激甚化・頻発化する自然災害の対応に加え、長期化する新型コロナウイルス感染症により、市民生活や社会環境は大きな影響を受け、感染症防止対策と社会経済活動の両立をいかに図っていくかが大きな課題となる大変厳しい状況にあります。
また、本市の財政状況は、依然として基金を取り崩さざるを得ない状況が続いており、コロナ禍において多様化する市民ニーズに的確に対応した質の高い行政サービスを提供していくため、行財政改革を積極的に進めているところです。
このような状況下においても、目標とする将来像である「自然と歴史に育まれ笑顔と希望あふれる活力のあるまち」の実現に向け、多様化する市民ニーズへの対応と市民サービスの質の向上を図りながら、的確な行政運営を行っていかなければなりません。そのためには、担い手である「人材」が必要不可欠であり、職員一人ひとりが意欲と情熱を持って職務に取り組み、市民の役に立つ人材として育っていくことが重要です。
人材を持たない組織は、いかに優れた計画があっても、実行力を持つことができないことから、本市においても、研修等を通じて職員がそれぞれの能力を十分に発揮できるよう戦略的な「人材育成」への取り組みを推進していかなければなりません。
さらに、度重なる職員の不祥事により、市民の市政に対する信用が大きく失われている事実を重く受け止めなければなりません。市民の信頼回復を図るためにも、「公務員倫理」や「コンプライアンス※1」の認識を高める「人材育成」への取り組みも重要課題として実施していく必要があります。
「赤穂市人材育成基本方針」はこのような認識に立ち、これからの人材育成の基本的な考え方、方向性、具体的方策等を明らかにし、本市の人材戦略として策定したものであり、人材育成のマスタープランとするものです。
真に自立した地方自治を実現するため、職員は自らが全体の奉仕者であり、その職責が市民の信託に基づくことを再認識するとともに、市民の期待に応えていかなければなりません。
そこで、魅力的で誇りの持てる赤穂市の実現のため、すべての職員が次に掲げる職員像を理想とし、人材育成の目標とするものです。
法令等を遵守するという高い倫理観を持ち、公平・公正な職務の遂行に努めながら、仕事を最後までやり遂げる強い使命感と責任感を持つ職員
市民との対話、交流を通して、市民に身近な問題を市民の立場になって考え、コンセンサスを得ながら仕事を進めていくとともに、常に新しいことにチャレンジするという前向きな気質を身につけ、困難な仕事にもやる気を持ってあたることができる職員
前例を踏襲し、今までと同じやり方で仕事をするのではなく、常に住民のニーズを受止め、新しい変化に対応できるよう仕事のやり方を変え、今までと比べ、よりよい方向に、よりよい方法で対応できるよう常に変革の気質を持ち、常に新しい時代を先取りし、未来を創造していく職員
簡素で効率的な行政運営を実現するため、市民サービスの向上とそれを実現するためのコストとのバランスを考え、業務の改善と創意工夫を重ねながら、仕事を進めていく職員
近年、企業倫理の話題を語る際に「コンプライアンス」という言葉が頻出するようになってきました。その背景には、偽装表示、不正会計、不正入札、クレームの隠蔽・盗聴事件などの事件が発生し、その都度、法律や倫理を遵守することの重要性が指摘されていることが考えられます。
このため、多くの企業では「コンプライアンス」は経営戦略の重要な要素と位置づけられ、体制の確立や取り組みが始められています。
今地方自治体は、管理の時代から経営の時代へと変革しようとしています。職員は全体の奉仕者であることを自覚したうえで、市民が自治体や職員に求める「コンプライアンス」を十分認識し、市民の目線に立ちながら、いかに市民の生活向上を図り、サービスの質を高めていくのかを考え、行動することが求められています。
本市においては、今後不祥事の再発防止に最善の注意を払っていきますが、そのことだけに捉われてしまうと、職員の気持ちが萎縮し、必要最低限の姿勢を保つだけで終わってしまうことも考えられます。それでは、本当の意味での市民福祉の向上に繋がらなくなってしまいます。全ての職員が
「法令で禁止されていないが、『それを行ったら市民の信頼を損なうと考えられる行為』は行わない」
「法令に直接定められていないが、『それを行えば市民のためになる行為』を行う」
という、より高い水準の意識を持つことが必要となってきます。
併せて個人の「コンプライアンス」が組織の「コンプライアンス」に繋がり、個人への評価が全体の評価へと繋がっていくことも十分理解しておく必要があります。
お問い合わせ